2009-11

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千原ジュニアの過去と現在『季刊「Prints21」2009年夏号「特集千原ジュニア」』

■季刊「Prints21」2009年夏号「特集千原ジュニア」

prints (プリンツ) 21 2009年夏号 特集・千原ジュニア [雑誌]prints (プリンツ) 21 2009年夏号 特集・千原ジュニア [雑誌]
(2009/03/26)
不明

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ビジュアル中心の本なのかと思ったけど、千原兄弟ファン暦10年以上の者でも読み応えのある内容だった。
最近TVのレギュラーが増えたり、様々な雑誌等で取り上げられジュニアブームのような印象を受けるが、最近よくみる「千原ジュニア」を、「千原兄弟」「千原浩史」として今一度振り返ろうと言うようなものであるように思う。
「ブラッドブラザー」の著者で映画監督でありジュニアと親交の深い豊田利晃や、構成作家の松本真一、「世界のナベアツ」ではなく、作家として、芸人としての渡辺鐘などの人選を見てもわかる。特に松本真一のコント解説は興味深かった。このような形で松本真一の声がかかれてあるものを初めてみたからだ。千原兄弟のコントはもちろん、「吉本超合金」や「すんげー!Best10」最近では「あらびき団」など人気番組の構成作家をつとめる松本真一にはもう少し注目してもいいのではないか。(個人的に松本真一特集とかあったらすごく読みたい)

データマニアの私としては、ジュニアが携わったこれまでのライブ、ラジオ、TV、雑誌のコラムなどをまとめた「主な仕事」、1992年から現在まで行われた「メインライブリスト」(代表的なものはコントの名前と順番まで!)、「はじめtour右から2番目の星に住む迷子たちの声」をはじめとするVHS、DVD化されたライブのコント作品解説(ジュニアが選ぶお気に入りのコントがわかる)などが見ごたえがあった。
データとしてまとまっているものとしては、優れた特集であると判断できる。

ただ、やはり現在テレビでよく見かける「千原ジュニア」としての側面から見た過去の「千原兄弟の千原jr」「千原浩史」の紹介という感じの印象に留まっているような気がする。(特集「千原ジュニア」だから当たり前だが)
渡辺鐘が「ジュニアさんって当時から「ジャックナイフ」って言われてますけど、お笑いの種類に例えても「ジャックナイフ」やったと思うんですよ」
「お笑い的にも「ジャックナイフ」な部分がありましたね。でも、今でも”笑い”という部分では全然変わってないですね。むしろ今の方が尖がってると思います」(p.31)
と言うような、ジュニアの本質的な笑いの性質。現在と過去とをつなぐように流れているもの。
それは果たして、「狂気を笑いに変える」(p.31)というように形容されうるものなのだろうか?
ジュニアのエッセンスとは何か。
そのあたりを明確にしていないからか、今回の特集は単に「昔は狂気じみたテーマが多く尖っていたが、今は丸くなってpopになってきた」というような表層的な流れを可視化するだけのような印象も受けてしまう。
ジュニアのエッセンスとは、「狂気」を「笑い」に変えることだったのか?

私個人としては、そのような見方をしていない。
「狂気」と評されるような題材や、設定は、ジュニアの作り出したい世界を描くための一つの要素でしかない。それゆえに、現在pop化してきたとされるジュニアだが、私としては過去との連続性のなかでのジュニアとして捉えられるし、むしろその幅が広がってきたことを嬉しく思う。

ジュニアの魅力の本質的な部分を捉えるための、コント作品、ライブの本当の意味での紹介がなかったのは残念なことである。もしくは、コント一つ一つがつなぎ合わさった一つの作品としてのライブ。
千原兄弟のライブは、バラバラな新作コントをただ何本か提示するだけではなく、ライブ全体を通して一つの世界浮かび上がるようなっている。それは、ライブのタイトル、ライブ中のブリッジVTR(コントとコントをつなぐVTR)、音楽、DVDのパッケージ、フライヤーなどの細部の演出にまで及ぶ。

たとえば、1998年の「PINK」は、絵本をよむナレーションがコントとコントの間に挟まれ、最後にライブ全体が一つの絵本を見ているように出来ている。
世界すべてのものが青い色の世界から来た青い色の犬が、世界のものすべてがピンク色で出来ている世界に迷い込む。青い色の犬はおかしいといってバカにされいじめられる。青色の犬はピンク色の世界から抜け出し、それをピンク色の人間たちは追いかけるが、青色の世界にたどり着いた人間たちは、初めてそこで自分たちがピンク色だったことに気づく。「あの二人、PINKだ」
その徹底振りは、一つ一つのコントの中に出てくるピンク色のものの配色の仕方や、ライブCD、エンディングに使われる北尾敏の「ピンク色」という曲。それらを通して千原兄弟の世界を見ることができる。

コントやエッセイ、トークの中に出てくる、ジュニアが作り出す言葉の世界なかに、私たちは現実の世界を超えてリアリティのある感覚を感じる。

「もーどうして子供のままでいるとおもしろいのにみんな大人になるのかな?
どうしてだろうなー 子供のままでいるとおもしろいのにほんとに不思議だね
あ、またピーターパンがたくさんの子供たちを連れてここに帰ってきたよ
また、面白くなりそうだね ネバーランドへようこそ」(千原兄弟「はじめtour右から2番目の星に住む迷子たちの声」)
「僕は 今日という日が いつの日か 記憶の中から薄れていくような 思い出にする気はない
だから 僕が 死ぬ間際に見る 頭の中をグルグルまわる 思い出の中には
今日の日のことが きっと入ってる」(千原兄弟「はじめtour金龍飛戦」)
「家があったから家出少年になれたんだ」(豊田利晃『ブラッドブラザー』)




まだ私が千原兄弟と言うものを知ったばかりの頃、読んだ雑誌の記事に載っていた印象的な話がある。それと同じような内容が、豊田利晃『ブラッドブラザー』のなかのインタビューに載っていた。

「(新聞を読んでいると)自衛隊の人がビデをテープを借りて友達に貸したんですよ。それで、ビデオテープをこいつが返せへん、っていうので殺したんですよ。返さない友達を。それを、ワイドショーでおすぎが「そんなビデオテープで人殺してたら、何百人殺さなアカン」って言うてたんですけど。全然違う話で、もう価値観の問題で、こいつ殺してでも取り返したいビデオテープやったんや、こいつにとったら、って(略)」


ただ、世間と違ったうがった見方をしているということじゃなくて、一つの事件にこめられた意味を、自分の世界の解釈で読む、ジュニアのセンスみたいなものに惹かれた。

これらの世界は、「狂気」と言う言葉で形容されるべきことなのか。
「PQRS」を「ピクルス」と読むジュニアの世界観は、昔から一貫しているのではないか。
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テーマ:千原兄弟 - ジャンル:お笑い

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